私立聖ブルージョークス女学院
「おい、君。なんだ、その美人料金というのは?」
 名取千尋がいたずらっぽい微笑を顔に浮かべながら答えた。
「読んで字のごとし。美人用の値段です」
「おい、ちょっと待ちなさい。それは差別にならないか?そもそも美人かそうでないか、誰がどういう基準で決めている?」
「あはは。それはね、自己申告制なの」
「自己申告?」
「そう。美人料金にするか、普通の値段にするか、それはお客さんが自由に決める事。高いお金払いたくないなら片山先生みたいに普通料金選べばいいだけの事ですよ。もっとも、女のお客さんは百人中99人は美人料金選びますけどね」
「ううむ、それは分かったが……しかし、それはボッタクリにならないか?」
「ああ、それは大丈夫です」
 綾瀬先生が横から口をはさんだ。
「わが校の文化祭の収益金は、全額慈善団体に寄付する事になっていますから。むしろ一円でも多く寄付金を集めるための、この子たちなりの工夫ですね」
「な、なるほど。そういう事なら。しかし、名取千尋君、君はけっこう商売人だな」
「へへ、毎度あり!綾瀬先生はお決まりですかあ?」
「よし、私はこっち!」
 そう言って綾瀬先生が指差したのは、美人料金のメニューにさらに向こう側にあるもう一枚のメニューだった。な!こっちは同じ紅茶が1500円?その一番上には「名器料金」と書いてある。
 なるほど、あの高級そうな食器の中から、さらに超高級なカップとかでお茶を出すというわけか。綾瀬先生もさすがは教師だけあって、寄付金に貢献しようという事か。僕も付き合うべきなんだろうが、残念ながら新米教師の財布にはその余裕はない。今年は普通料金で勘弁してもらおう。
< 22 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop