私立聖ブルージョークス女学院
 店員の彼女は読み取り機をDVDのケースにあて、にっこり笑ったまま「何泊にしますか?」と訊いてきた。よかった、ばれなかった。よし、ここで「一泊で」と何気なく答えれば、それで全てオーケーだ。僕はゆっくりと深呼吸し、答えた。
「あ、イッパツで」
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 し、しまったあああああ!よりによって何と言うセリフを口走ってしまったんだ、この僕は!
 彼女は笑顔を崩さず、「はい、一泊ですね」と言って何事もなかったかのように貸出手続きをしてくれた。いや多分気づかなかったフリをしてくれたんだろうな。
 DVDを手に出口へ向かう僕の背中に生徒三人の会話が聞こえて来た。
「あーあ。これで何人目だろね、詩織先輩にあのセリフ思わず言っちゃった男って」と名取。
「まあ、そう言うなよ。センコーだって生身の人間なんだからさ。それに独身だろ。ついでに一年もあたいたちの相手してりゃストレスも溜まってるって」と、これは槇。
「あはは。あれ、中味は絶対にAVですネー」とジンファン。
 僕はアパートまでの夜道を歩きながら悟った。終わった。これで僕の教師人生は……
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