キミニアイヲ.


それから二人は他愛ない話をして、あっという間に時間は過ぎていった。


駅までの道のりを、莉子は心なしかゆっくり歩いていた。



「今日はありがとうございました」


「こちらこそ、話が出来て楽しかったよ」


「あの……松永さん」


「ん?」


「どうして…あたしと話がしたかったの?」



莉子は最初からずっと気になっていた。

なぜ楓は、オアシスで働いていることまで調べて自分に会いに来たのかを。



「…気になったから、その後どうしてるかなって。
でも元気そうで安心したよ」


「そっか……ありがとう」



──心配してくれてたんだ…。


それは本当に嬉しいけど、でもどうしてだろう…


何で少しガッカリしてる自分がいるの?



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