キミニアイヲ.
「一人で帰れる?」


「大丈夫だよ、子供じゃないんだから」


「はは、そうだな。それじゃ…またね」



そう言った楓は、ふいに莉子の顔に触れて身をかがめ……

彼女の頬にそっとキスをした。



「──っ!!??」


「おやすみ、莉子ちゃん」



そう耳元で囁くと、色気のある笑みを見せて莉子から離れた。



──びっ…びっくりしたぁ!!



頬にキスなんて大したことないのに、顔が熱い。


キスされた左頬に手を当てながら、去っていく楓を見る。



「あ…っ、松永さん!」



何か言わなきゃと思った莉子は、思わず楓を呼び止めた。


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