キミニアイヲ.
「そういうことか」


そう言って楓は内ポケットからペンを取り出すと、コースターに何かを書き始める。


不思議そうに見ていた莉子は、それを渡されて目を丸くした。



「これ……」


「俺でよければ、莉子ちゃんの話し相手になるよ」



コースターに書かれていたのは楓の携帯番号だった。



「今日で…最後なんじゃ…」


「そうだよ?“デリヘル嬢と客の関係”はね」



莉子の気持ちを全て見透かしているような、黄緑色の瞳を細めて微笑む。



──終わりじゃないんだ…。

ただの男と女として、逢ってもいいんだ……


安堵感と身体が高揚していく感覚に包まれる。


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