縁隔操作(えんかくそうさ)
「い、いや、別にそういうわけじゃなくて、その子はただのお隣さんてだけでですね……
だから、いや、あの、その……」
「もうアキトさんたら、照れちゃって、カワイイ!」
 そう言ってユリアの左手が俺の背中をパンと叩く。次の瞬間、俺の体は高さにして30センチほど、距離にして2メートルほど宙を舞って、その一秒後、もろに池の水の中に落下した。
 派手に水しぶきが上がり、俺の下半身はずぶ濡れ。幸い深さは数十センチほどの池だから、全身ずぶ濡れにはならずに済んだが、なんせ真冬の寒さの中で水中にダイブしたんだから俺は冷たさに体の芯から震えあがった。
「キャア!すみません!すみません!まさか、ユリアのボディーがこんなにパワーがあるなんて……まあ、どうしましょう?すっかり濡れたみたいですけど……」
 ユリアに手を引かれて池から這い出しながら、俺は引きつった作り笑いを浮かべながら言った。
「いや、大丈夫っス。ちょっとズボンが濡れただけで。男っスから、これぐらい平気ですよ。それに俺、体の丈夫さだけは人並みはずれてますから、あはは」
 とは言え、帰りのバスの中で俺が必死でクシャミを押し殺していたのは言うまでもない。
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