縁隔操作(えんかくそうさ)
「はい。あれがセグウェイですか。それにしてもこの辺は噴水とか水辺が多いんですね」
「ああ、この辺は大きな川が全然ないスから。夏場は涼しくていいスよ」
 冬場だし平日なので試乗する人はほとんどいなくて、すぐに俺たちの番が来た。ユリアはおっかなびっくりという感じで、平らなステップに乗る。俺は前に回ってセグウェイのハンドルを押さえていた。
「あ、あの。アキトさん、ちゃんと押さえてて下さいね。わたし、これに限らず何かに自分で乗るって事自体が生まれて初めてで……」
 声が半分裏返っていた。はは、やっぱりこういうところは女の子だな。
 セグウェイってのは、簡単に言えば二個の太い車輪の上に乗るための平らな板が乗っけてあって、上にまっすぐ細長い自転車のハンドルみたいな物が付いている物だ。15年ぐらい前に売り出された当時はスピードをコントロールできなかったそうだが、最新式のやつは手で握る部分にアクセルとブレーキが付いている。右側の取っ手をバイクみたいに手前にひねるとスピードが上がる。
 しかし、ユリアがいくらアクセルを回してもそのセグウェイはピクリとも動かない。故障してるのか?と思って俺が代わって乗ったらちゃんと動く。変だな?なんでユリアが乗ると動かないんだ?
 もう一度ユリアを乗せ、俺は前に回ってハンドルを押さえてあげながら、ユリアが何度もアクセルを回す様子を見ていた。そして、はたと気がついた。
「あ、あの、ユリアさん……言いにくいんスけど……ユリアさんのそのボディってロボットだから、その重さがけっこうあって、だからその……」
「あ!忘れてました。そうですよね。重過ぎて動けないのか。じゃあ、仕方ないですね」
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