お隣サンは元彼クン
『南…』
『やっぱりもう一度会いたかったから…来た。』
めずらしく素直な言葉がでる。

柊二の部屋は、もう何もなくてボストンバッグが一つだけポツンと置いてあった。

『マジあっという間だったなぁここでの生活。最初はどうなるかと思った。となりに南が住んでて何話していいかも、わかんなくて』
『あたしだってどうしていいかわかんなかったよ。あたしばっかドキドキしてさ…たぶん寿命縮まった。』

『俺も』

『でも、こうやって南と笑える日がきたんだもんな。偶然に感謝だよ。』


長い沈黙のあとで私は言った。

『ギューして柊二…昔みたいにギュッて…』


『あたしね、同窓会の日、もう、めちゃくちゃにされてもいいって思った。何もしてこなかった柊二に、何でしてこないの?って。でも、あたしがそんなん言える立場じゃなくて。
あたしは…
あたしは…
柊二の事が好…』
その瞬間、柊二が私にキスをした。
長くて甘くて切なくて…
何もない広いフローリングの上で、私は柊二に押し倒された。
柊二の唇は、口から首筋に。首筋から胸に…
私の洋服のボタンを一つ二つはずして右手を胸に乗せた時、柊二の動きがとまった。
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