お隣サンは元彼クン
『やっぱこれ以上はできない』
柊二はそういうと、私の体から離れた。

私は横たわったまま涙が、フローリングに落ちた。

柊二は座って話だした。
『俺だって、南といると、どんどん気持ちが10年前に戻っていった。同窓会の日もふくめて何度も正直いうと南を抱きたかった。
このままどっか遠くに連れていってしまいたいとか、色んな気持ちを、押し殺してた。でもさ、俺、森山さんに言われたんだよ。俺の事、信じるって…俺、南の事が今でも好きか?って聞かれて好きだって答えた。でも、あの人言うんだよ。俺の事信じる。南を信じるって。負けたって思った。俺、あの人裏切られねぇよ。それに…お前は拓の母親だしな。母親はさ。この世に一人しかいないんだよ。拓から、お前を奪うなんて、できねぇ…』
『ごめん…柊二。ホントごめん』
『なんで、お前があやまんだよ。ぜーんぶ俺のせいだ。お前は何も悪くない。悪い事はしてない。だから、これからも母親頑張れよ。幸せになれよ南』
そう言って私が泣きやむまで、ずっとずっと柊二は頭をなでてくれた。
『じゃあこれでホントにサヨナラだね。』
『でも10年前と違ってまた会えるさ。今度は堂々と笑いながらな』
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