俺の彼女はインベーダー
 夕食の片づけが済んでからも小夜ちゃんは俺にまとわりついて離れなかった。が、やがて俺の膝の上でコックリコックリし始めた。やはり小さな子供だからもう眠くなったんだな。今日はいろいろあったので、俺たち全員さすがに疲れていた。
 この時代の夜は早かったはずだし、寝ることにしたところで一騒動持ち上がってしまった。小夜ちゃんが俺と一緒に寝ると言ってきかなかったのだ。
「あ、いや、俺は構いませんが」
 と小夜ちゃんのお母さんに言ったら、ラミエルがなぜか顔を真っ赤にして俺にわめいた。
「早太さん!青少年健全育成条例を知らないんですか?」
 よせばいいのに、横から麻耶がまぜっかえす。
「ラミちゃん、この時代にはそんな物まだないわよ」
「そ、そうなんですか?だったら、なおさら」
 俺はたまらず怒鳴り返した。
「こら!二人とも、俺に関して、ある事を大前提にして話してるだろ!」
「兄様、このねえさまは何をそんなに怒ってるんだ?」
 すると麻耶が小夜ちゃんにすり寄ってその耳に手をあてて、小声で何か吹き込んだ。すると小夜ちゃんはパアッと顔を輝かせてラミエルの腕に抱きついた。そして言った。
「じゃあ、三人で一緒に寝る!小夜の姉様になる人だったんだね」
 俺とラミエルは同時に「はあ?」と間抜けな声を上げ、そしてそれに気付いて麻耶に向かって怒鳴った。
「こら、麻耶!てめえ、小夜ちゃんに何を吹き込んだ?」
「麻耶ちゃん!なんて言ったんですか!」
 麻耶は悪びれた様子もなく、ぬけぬけと舌を出してこうほざきやがった。
「別に。兄貴のお嫁さんになる人だって教えてあげただけだよ。さあさあ、あたしたち邪魔者はあっちの部屋で寝ましょう」
 そう言ってサチエルとユミエルの背中を押しながら隣の部屋へ歩いて行く。サチエルとユミエルは口を両手で押さえて必死に笑いを噛み殺していた。桂木二尉は二尉で、日本酒の五本目のお銚子を空にしながら大声で笑っていた。小夜ちゃんのお母さんがおずおずといった感じで俺とラミエルに訊く。
「あ、あのう、もしご迷惑なら遠慮なくそう言って下されば……」
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