俺の彼女はインベーダー
 そこへ麻耶が戻って来た。右手に木刀をぶら下げている。
「なんだ、麻耶、その木刀買って来たのか?」
「ううん、違う、もらったの」
「もらったって、誰に?」
「あっちの原っぱで剣客さんに会ってさ。なんか気が合って剣術を教えてもらってたのよ、30分ばかりの間。で、あたしは筋がいいからってこれくれたの」
「おいおい、この時代はけっこう物騒なんだぞ。剣客なんかと関わりにならない方がいいぞ」
「大丈夫よ、あたしより背が低い痩せっぽちだったし。これでも免許皆伝もらってきたんだから」
「30分で免許皆伝?どんなインチキ剣術だ、そりゃ」
 そこへ夕飯が運ばれて来たので、とにかく全員で腹ごしらえをする事にした。ご飯とみそ汁、数種類の焼いた魚や貝という献立だったが、いや、かまどで炊いた米は一味違うというのは本当だな。腹が減っていたせいだけではなく、俺は猛烈に食欲が湧いていた。
 サチエルとユミエルはもっと感激していた。前にラミエルから聞かされたが、イケスカンダルでは食事は全てロボットか自動調理器が作るだっけ。原始的だが、だからこそ、彼女たちには生まれて初めての新鮮な経験のはずだ。思った通りユミエルが感極まったという口調で感嘆の声を上げた。
「なんておいしい!これが手作りの味という物なのですね、おねえさま!」
「ええ!築地の料亭でもこの味は出せませんわ!」
 うん、うん、そうだろう。これこそ手作りの……え?築地の料亭?俺は思わず聞き返した。
「築地の料亭って俺たちの時代の話か?」
 サチエルが不思議そうな表情で言う。
「はい。わたくしたち、夕食はいつも築地か銀座の料亭で取っておりましたが。それが何か?」
 俺はラミエルに顔を向け、言ってみた。
「なんか、同じ地球征服要員でも、えらく差があるような気がするんだが……」
 ラミエルはみそ汁をのどにひっかけたらしく、数秒せき込んでから笑ってごまかした。
「あ、それは、あの……あ、あははは」
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