鬼に愛された女


「え?なんで?ゆ、夢なのかしら?」


どんなに目をこすっても、桜の花は消えない


たしかにこの桜の木には、桜の花は一つも咲いていなかった


「か、神威様。桜が……」


「咲いたな」


「そうですが、なぜ急に?……まさか、神威様の力で!?」


「いや、俺ではない。……ん?」


目の前に落ちてきた桜の花びらを神威は掴んでみたが、するりと通り抜けて、つかむことができない


「幻?そうか。これは幻覚だ。おそらく美月の力で桜が咲いたんだな」


「わたくしの力でですか?けど、わたくしにはそんな力ありませんよ」


首を横に振って、自分の力でないことを示す


だが、神威も首を横に振ってそうであることを示す


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