合縁奇縁
そこにいたのは、まだ小学生ぐらいの 小さな少年だったのだ。

しかも 傘すらさしておらず、華奢な少年の体に 痛いぐらいの雨が降りかかっている。

髪や体はぐっしょりと濡れて、むき出しの顔からは 水滴がポタポタと垂れていた。


朝生は 少年の不可解な言葉もすっかりと忘れ

「僕、迷子?」


少年と同じ目線にまでしゃがみ込み、それからそっと傘をさしかける。

普通ならここで、何らかの答えがあるはずだ。


しかし。
次の瞬間、朝生は胸の辺りに衝撃を感じ 後ろの水溜まりへ尻餅をつく。

突き飛ばされた、と気付くまでに 朝生は数秒を要した。
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