炭坑の子供たち(2)

国語

 この町で育った者は、これでも社会に出て、笑われた筈である。

今でこそ、テレビの普及などで無くなったが

本人は、全く気付いてなく

「せんせい」と発音すると

どうしても、「シェンシェイ」になってしまうのだ。

未だあちこちに、戦前の名残があり

壁には、誰が書いたのか

《みんな、仲良くしませう》の貼り紙があり

横書きの文字は、右から左へと書いているので

「フルーツポンチ」や「コンマロク」などは、大変な事になる。

それに、ばあさん達は、昆虫の蝶々は

「ちょうちょう」と発音するのに

文字にすると、「てふてふ」になっていた。
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