shining☆moon‐私の王子様‐


~~フレン.said~~


「ヴィンセント・シュナイザー様だよ。ロザフォース兄弟」

俺たちは信じたくない真実を知ってしまったように気が狂う。
暗闇の中から現れた、黒髪の“悪魔”は俺達を不敵な笑みを浮かべながら見る。
…っくそ。
身体が動かない…。

俺は“悪魔”を睨み付けた。


「怖いよ、フレン。何?自由に動けないからイライラしちゃってんの?」

「…黙……れ……!!」

俺たちは必死に逃れようと、身体を動かそうとする。
それを見た“悪魔”は赤黒い目を細めて笑う。

畜生……。

俺は心の中で呟いた。
するとジワジワと足元から魔法が解けていくような感覚があった。

「…はぁ…」

俺とクロードは地面に膝を付けた。
ヴィンセントの魔法が解けたらしい。

「…しょうがないから魔法解除しちゃったよ♪」

「「…」」


うぜぇ……。
と、口では言わないけど俺の中ではその言葉しか見つからなかった。
ムカつく……。
これも当てはまる。
あの余裕ぶっこいてる表情、マジ腹立つ。

「フレン」

ヴィンセントは真剣な眼差しで俺を見た。

「あ゛?」

俺はギロリとヴィンセントを睨む。
暗闇の中で透き通った白い肌に気味悪い程赤黒く光る目が俺を“恐怖”へと誘っていく。
表では強がっているけど、内面では怖くて恐くてたまらない。

「…」

「…」

お互いに睨み合いながら黙り込む。
背筋が寒くなる。
俺はヴィンセントの赤黒い目に吸い込まれていくようにじっと見つめていた。

そして沈黙を破り、この空気を一転するようにヴィンセントは不気味に笑い、次の事を言った。



「始めようかフレン。俺とフレンの最初で最後の戦いを」



一瞬だけ、一瞬だけだけど。




ヴィンセントが切ない顔をした気がした。




俺はそれに気づかないふりをして、ヴィンセントを見た。


「あぁ」





ここで何もかもが決まる。
長きに渡ったヴィンセントとの決着が。





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