先生とあたしの子育て〜愛する家族〜
杏子の想い
【理人】
佳菜は妊娠5ヶ月に入った。
お腹も出て来ている。
学校には『家庭の事情』という事にして休学をしている。
数日前から佳菜は、出産して少し落ち着くまでウチで一緒に暮らしている。
大学。
今日もいつものように授業が終わる。
「なぁ、理人。これから俺たち遊びに行くだけど、お前も一緒に行かねぇ?」
「俺はパス」
「理人、最近…付き合い悪くない?もしかして、噂の幼なじみの彼女?」
「まぁな…」
俺の前でわいわいと喋っているのは、同級生で友達の松本新(まつもとあらた)と谷口杏子(たにぐちきょうこ)。
「すごい、可愛いいんだろ?紹介してくんねぇ?」
「やだ…」
「えっ、なんで!?」
…だって、佳菜の妊娠の事はこいつらには言ってないし…
それに新のヤツ…
佳菜に逢ったら…
絶対に惚れる!!
「あれ…?あの子すごく、可愛いくない?」
大学を出ると、杏子が言った。
「か、佳菜!?」
「あっ、理人」
「どうした?こんな所で…」
「病院が早く終わったから、迎えに来ちゃった♪」
「あなたが…理人の"彼女"?」
「はい。初めまして、二宮佳菜です。理人がいつもお世話になってます」
佳菜は丁寧に挨拶をする。
「か、可愛い…」
…新のヤツ。
やっぱりな…
「私は谷口杏子。宜しくね♪」
「俺は松本新。宜しくな♪」
「はい」
「ねぇ、理人。今からあんた家(ち)に行っていい?」
「はぁ!?」
「どうぞ、どうぞ。よかったら…夕食も一緒にどうですか?」
「「喜んで♥」」
…おい、待て!
お前ら、これから「遊びに行く」って、言ってなかったか?
こうして、新と杏子がウチに来る事になってしまった。