先生とあたしの子育て〜愛する家族〜


―――ガチャ。


美羽のウチに入ると、美羽が俺に抱き着いてきた。

「剣兄、助けて~~~!!」

「どうした!?美羽」

「キッチンに…ゴキブリが…」

キッチンのほうを指で指す。


…えっ?


ゴキブリって…


そういえば、こいつは『虫系』が嫌いだったけ?


「くるみ、美羽を頼む」

「うん、わかった」


その後、俺は30分以上ゴキブリと格闘した。




翌日、パミレス。


学校の帰り道にくるみと立ち寄った。

「剣人、私たち…別れよう」

「…んだよ。急に…」

「剣人ってさぁ。私のこと本当はそんなに好きじゃないでしょ?ヤってる時も私は剣人の愛を感じたことはないし…」

「そ、そんな事は…」

はっきりと、否定ができない。

「昨日あなたを見て思ったの。『剣人がなによりも大切にしてるのは、美羽ちゃんなんだ』って。…あんな慌てた顔は初めて見た」

「美羽は、だだの”妹”で…」

「…4年…」

「え?」

「あと4年経ってば、きっと”妹”なんて言えなくなるよ。じゃあ、またね」

くるみはそれだけを言い残して、パミレスを出て行った。

「嘘だろ…」

そう言って、ため息をついた。



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