百人殺せば英雄です
ぎゃーと騒ぐ溝出に、静かな狐面の人。
狐、人間、と来て、管狐たちが言ったことを思い出した。
「君ね、犬神のおじいちゃんを切ったのは」
初めて存在を確認したかのように、赤い糸目がこちらを向く。
「おじいちゃん?はて、どうやったかなぁ。いちいち切ったのは覚えとらんさかい」
「妖怪を切ったのは認めるのね」
「認めるも何も、僕は善意でやっているだけやきに。妖怪退治は人間のためやろ?見たところ、あんさんとて退治屋ちゃうん?」
「確かに私も力は持っているけど、誰これ構わず退治するわけじゃない。きちんと話し合って、お友達になるんだから」