百人殺せば英雄です


ぎゃーと騒ぐ溝出に、静かな狐面の人。

狐、人間、と来て、管狐たちが言ったことを思い出した。


「君ね、犬神のおじいちゃんを切ったのは」


初めて存在を確認したかのように、赤い糸目がこちらを向く。


「おじいちゃん?はて、どうやったかなぁ。いちいち切ったのは覚えとらんさかい」


「妖怪を切ったのは認めるのね」


「認めるも何も、僕は善意でやっているだけやきに。妖怪退治は人間のためやろ?見たところ、あんさんとて退治屋ちゃうん?」


「確かに私も力は持っているけど、誰これ構わず退治するわけじゃない。きちんと話し合って、お友達になるんだから」


< 12 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop