百人殺せば英雄です
語り部は語る。
正義(力)を見せろ、と。
「……」
漂う緊張感を睨み付け、依子は袖から札を出した。
「おいでくださいませ!」
どろん、と煙が溢れて、中から白い毛の狼が具現する。
牙をむき出しにするは、依子の式神、“鳴神”(なるかみ)である。
「きぃつけろ、秋月。あの巫女、暦の術も使うぜぇ。せいぜいおっちぬなよ、ヒィハハ!」
「ほお。これまたけったいな。逃げないだけあるわ。少しは楽しめるやろか?」
構える姿は一朝一夕で身に付く姿勢ではなかった。
あちらとて余程の実力者であるのはよく知っている。
「鳴神ちゃん、雷光!」