百人殺せば英雄です
依子に当たらないのかとも思えば、いつの間にか、依子の前には大きな白牛が盾がわりとなっていた。
顔に三つ、両脇腹に六つの目を持つ妖怪、白沢だ。
「白沢のおじいちゃん!」
「依子、下がっておれ。我らがカタをつける」
「ははっ、いくら霊獣とも僕の前では」
「ぎゃーっ、あきつきいぃぃぃ!」
「なんや、溝出。話の腰をおらんと――」
で、目を丸くした。
秋月の素顔が分かれば、これほどまでの間抜け面は次にない。
辺りが日陰となる。
日の光が遮られるほどの巨大。
「龍やて……」
翡翠色した鱗の龍神が空を泳いでいた。
長い髭がちょろちょろ動き、いつでもこちらに食らいつこうとしている。