百人殺せば英雄です
(三)
「俺の芋だ、こらあぁぁぁぁっ」
「やーい」
「べーだ」
境内にて、焼き芋を手に飛び回る管狐を追う溝出(頭のみ)。それを見つめながら、秋月はまたため息をついた。
「とことん、依子はんは甘ちゃんやねぇ」
敗北宣言をしたものの、妖怪たちに謝るというお咎めだけで済んだ。
現在はお腹空いたというわけで、立宮神社にお呼ばれした次第である。
「甘ちゃんで結構ですよー、だ。世の中、平和が一番なんだから」
ほくほくの芋にかぶりつきながら、依子は言う。
「平和やないから世の中なんどす。悪と善きが混じりあう世界で、あんさんみたいな甘ちゃんは長生きせえへん」
芋を食べるために狐面を取る秋月。