お嬢様、家出しちゃいます!
「早く言いなさいな。じれったいのだから・・・」
何も言えず、百面相をするリリアにしびれを切らしたソフィアは先を急かした。
そして、リリアも意を決して口を開いた。
「お、お母様。あたくし、家出がしたいの!」
「あら・・まぁ。」
どうせまたドラマ関係のことだろうと思っていた。
リリアが浩太郎に頼み込むことと言えば、それしか思いつかなかった。
普通、こういう場合、母親というものは怒るか泣くかだろう。
だが、やはりそこはソフィア。
大きな瞳をより一層大きくし、キラキラと輝かせていた。
「それは・・おもしろそうね!!ぜひ、おやりなさいな」
今まで過保護に育てすぎたせいか、リリアはソフィアにべったりだった。
学校でも友人をあまり作らないと如月が話してくれたときにはとてもショックだった。
だが、そんなリリアが家出をしたいと言い出した。
(ここは母親らしく大手を振って送り出さねばよね!)
少しズレているかもしれないが、ソフィアは両手でガッツポーズを作って決意した。
(思ったとおりですね・・・)
如月はこめかみを揉みつつ、誰にも聞こえないように長い長いため息を吐いた。