君桜



学さん、あたしを…帰らそうとしている?


昨日、言ったじゃん。


学さん、言ってくれたじゃん。




見捨てない。

見捨てたら、殺してもいい。





って、言ってくれたじゃん。




嬉しかったのに。


あの言葉、正直…うれし、かった…のに。




「どうしたい?」



「…え、どう、って」



な、何が言いたいのかが、分からない…。


学さんは結局、何を言いたいの?


あたしに、どういう答えを求めているの?


「あの男、俺がどうにかしてやろうか?」


どう、にか…。


「無理、だよ…!アイツをどうにか…なんて、できない!!」


学さんが、学さんがどんなに強いかも、どんなに偉いかもあたしはまだ知らない。


それでも、アイツは、アイツだけは…


アイツだけは、誰も――――、止められないこと、知ってるから!!


学さんが…アイツに手なんか出しちゃいけない!



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