[百合]円還恋心
「それじゃあボクはおやつを取りに行ってくるよ」
そう言い残し、部屋を去る。
確か彼女はアップルパイが大の好物だったはず。
再び冷蔵庫から出して、廊下を進んだ。
彼女は喜んでくれるかな。
このほかほかのアップルパイを。
絶対喜んでくれるよね。ボクが用意したんだもの。
鼻歌混じりで陽気に歩く。
彼女は本でも読んでいるのかな。
ちょっとノックせずに、サプライズみたいに入ってみよう。
そう考えを巡らせながら、扉の前へ。
そんなボクの目に映ったのは、信じられない光景だった。
「………………あい、て、る?」