[百合]円還恋心



彼女が持っているのは、頭蓋骨。



すぐ側にある花壇からは、埋まっている骨が見えていた。



彼女が、見てしまった。


ごめんなさい、とひたすら謝る声が聞こえる。

それが誰のものか、ボクにはわからない。





どうして?

出ちゃダメって、ボク言ったよね?





もう、幸せな時間は戻ってこない。



もう、鍵は壊されてしまった。







「ごめんなさい…………」




もう一度だけ、もう一度だけ、もう一度だけ。

今度こそは失敗しないから、神様。

ボクにチャンスをください。


花はもう咲かないから。

土はもう干からびたから。

夢を見てしまったから。





「ごめんなさい………………っ!」




ただ君を、閉じ込めておきたい。
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