[百合]円還恋心



「ねえ、ボクのこと知ってる?」



そう尋ねてみると、彼女は少し考える素振りを見せて、それから応えを出す。


「ごめんなさい、知らないわ」

「………………だろうね」



ボクは君と何度も会っているのに、ねえ。


こうやって会話するのは初めてじゃない。


前だって、「あなたは綺麗」って言ってくれたのに。





「あなた、女の子なのに自分のことを「ボク」って言うのね」

「うん。おかしいかな?」

「いいえ。いいと思うわ」




楽しくて、ついつい会話を続けている内に皿の上は空になっていた。


お腹が空いてるかを尋ねると、満腹だと返ってくる。


相変わらず少食だなあ、と心配になった。
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