不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生
「みずほのコンパクトに憧れてね。彼氏に買って貰ったの」
有美はそう言いながら、手鏡を使ってもう一度ウインクした。


(――おいおい……
なにもそんなに真似しなくても)


――ヤバい!!
ヤバいよ……
俺、本気になりそうだ!!

でも有美にはサッカー部のエースが付いてる。

とても太刀打ち出来やしない。


(――みずほ……
お願いだー。俺を助けてくれ)
虫のいいことだとは解っている。

でも俺は必死にみずほに救いを求めた。


(――もし……
本気で惚れたら、俺に待っているのは地獄の日々だけなんだ)


有美はそんな俺を後目に、手鏡を大事そうに鞄にしまった。


誰もが憧れるサッカー部のエース。

その彼女の有美。

馴れ初めなんかは知らないけど、二人の噂は良く耳にしていた。


だから俺も堂々と、みずほと付き合っている事を打ち明けられたんだ。
監督以下、全てのサッカー部員に。

だから有美は俺達の、恋の女神だったのだ。
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