不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生
 俺はみずほに心を残したまま出発していた。


だからなのか。
あいつの唇の温もりが……

まだ……
俺の唇を覆っている。


あいつの悪戯っぽい仕草の裏に隠された、俺への恋心が痛かった。


(――俺にそんな価値があるのだろうか?

――こんなに愛されても良いのだろうか?)

ずっとそう思っていた。


だからこそ
みずほに相応しい人間になろうとしていたんだ。


俺の方から惚れたのに、今じゃみずほに先を越された感がある。


サッカーとアルバイトて忙しい俺に、親身になって勉強を教えたりしてくれた。

みずほは俺にとって掛け替えのないパートナーになるはずだった。


(――あの時。
何かがあったと何故思わなかったんだ。

――みずほはあんなに俺を見つめていたのに!!

――もしかしたら俺に助けを求めいたのかもしれないのに……

――何故あの時気付かなかったんだ!!)

俺は自分自身に怒りの矛先を向けていた。




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