それでも朝はやって来る
「あっ…あの…すみませ……」

「真楯先生!!」


キーンと校長先生の声がマイク越しに響いた。


「御到着はもう少し後だとお聞きしてたので、迎えをやらずもうしわけございません」


校長先生の額に汗が吹き出して、それを一生懸命にハンカチで拭っていた。


「一つ早いフライトに乗れたもので…こちらの生徒が、入り口で困っていた見ず知らずの私をこちらへ案内してくれました。思いやりの心が行き届いてますね」



へ?
何がどうなってるの?


真楯が朝子に小さくウィンクをした。そして、足早に壇上へあがった。


「はじめまして、みなさん。

理事長の息子であり、今月から産休になった江口先生の代わりに、1Fを受け持つことになりした真楯です。担当科目は英語です。よろしくお願いします」


真楯がにこりと笑うと、あちらこちらかキャーという黄色い悲鳴が聞こえてきた。


「朝子、おはよー」


後ろから、こっそりとカナが囁いた。


「エグッちゃんには申し訳ないけど、超ラッキーじゃない?次の担任の先生があんなイケメンなんて!」


真楯が担任!?
冗談じゃない、なんなの朝からこんなことって!


「ラッキーじゃなーい!」


大きな声を出して怒ると、カナはビ ックリして朝子を見つめた。


きっとあたしが逃げないように監視するためだ。


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