それでも朝はやって来る
真楯と朝子の間には、布団に隙間ができていて、冷たい空気が入り込んできた。

体を丸めてみたが、やっぱり寒い。



「ふぇ…ぇ…」



鼻がムズムズするが、中々くしゃみがでなく変な声が漏れてしまった。


真楯が寝返りをうった。


こっちを見てるかと思うと、落ち着かなかった。


「朝子様?」


遠慮がちに小声で呼ばれた。

布団の中で、するりと手が延びてきて朝子を包んだ。


ぴったりとくっついた肌は、布団よりも暖かくて…


「何もしませんから…

こうしてた方が暖かいでしょう」


真楯の息遣いが、首筋にあたって擽ったかった。


緊張で岩のように固くなっていた朝子を、優しく抱き締め、布団の上からトントンと叩いてくれた。

規則的なそのリズムと真楯の温かさは、朝子の眠りを誘うのにそんなには時間はかからなかった。


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