君を探して
お弁当を食べながら、私はチョコに昨日の出来事を話した。

昨日の晩は、チョコにうまく話せるか分からないと思っていたのに、たった一晩で不思議なくらい穏やかに、私はチョコにいろんなことを語ることができた。


……それはきっと、“オレ”のおかげ。

「あのね、チョコ。もうひとつ聞いてほしいことがあるんだ」

そう言って、私は“オレ”のこともチョコに話した。


最後まで、黙って聞いてくれていたチョコは、私の話が終わると

「深月、もしかして“オレ”のこと好きなの?」

と聞いてきた。

「分からない……。自分の中で大きな存在になってることは確かだけど」

「そうかー。 案外、いい奴なんだ」

「うん……」

あんなに“オレ”のことを嫌っていたチョコが、静かに話を聞いてくれる。

「昨日、苦しかった深月を助けてくれたんだもんね、感謝しなきゃ!」

チョコが“オレ”を認めてくれた。なんだかそれがとても嬉しかった。

「ねぇ、深月」

「なに?」

「もし深月が本気で“オレ”の正体を探す気になったら、手伝うからね」

「うん、ありがとう」

チョコと私は、顔を見合わせて笑った。




“オレ”の正体か……。

ひとつ、どうしても頭から離れないことがあった。


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