君を探して
「あのとき……深月先輩のお友達が慎先輩を殴ったとき……それを止めようとする先輩がかっこよくて、一目惚れしました」

……よく言うよな。
開いた口がふさがらないとは、まさにこういうことを言うんだろう。

「でも、あのときの状況だったら、オレより陽人の方が男らしかったんじゃない?」

「そんなことありません!」

オイオイ、そんな即答してやるなよ。
陽人の立場はどうなるんだ。

「私、あのとき先輩に怒られて、目が覚めたっていうか…」

慎はこんな女に揺れたのか?

いくら深月とうまくいっていなかったからって、ありえねーだろ。

目の前でエリナが必死に自分をアピールすればするほど、オレはおかしくなって、思わず口元がゆるんでしまった。

そのオレを見たとたん、エリナの表情が緩んだ。

なんていうか……ホッとしたような顔。


あ。
コイツ、なんか誤解したな。
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