君を探して
「山野上先輩は、深月先輩と仲いいんですね」

心なしか、エリナの声のトーンが低くなったような気がした。

「うん、そうだよ」

オレがそう答えると、エリナの表情が強ばった。

……その表情も、もしかして計算ずくの演技か?

「私、深月先輩のこと嫌いです!」

遠くで、ようやく踏切の警報音が聞こえた。

「そう……」

オレが素っ気ない返事をしても、エリナの中で一度吹き出した深月への思いは止めることができなかったらしい。

「だって……深月先輩は全然女としての努力をしていないのに、素敵な彼氏も、守ってくれる幼なじみも、先輩みたいな素敵な友達もいて……」

なんだ、それ。

「滝田先生からも信頼されているし、タケにも慕われてて……。そういうの、女として許せないって言うか、不公平です……」

なんだ、ただのやっかみじゃないか。

慎やオレにちょっかいを出すのも、深月への対抗心からか?
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