ヘンゼルとグレーテル
「親方、これで全部っす」

駅には木箱や荷物、様々なものが種類ごと、運ばれる場所ごとに置かれた。

「よし、気をつけて積んでけよ」

空になった列車の中には清掃員たちが入っていく。

「次!14番の荷物!」

男の一人が声を張る。馬車の中に次々と荷物が運ばれる。

「……っ?」

最後の木箱を荷台に積もうと、男がそれを持ち上げた。

木箱が、冷たい。

季節は秋だが、まだ外の気温は暖かい。

変だな―――

「何してるんだ?早く次運ぶぞ」

「あ、ああ」

仲間の一人に呼ばれ、馬車の荷台に木箱を乗せる。

荷物を全部乗せたことを伝えると、馬車は出発した。

「どうした?変だぞ、お前」

「いや、あの14番の荷物が……」

「14?……ああ、あれは呪いの森行きだからな。お前呪われたんじゃねぇか?」

神妙な顔でそう言われ、男は一瞬びくっとした。

「がはははっ!びびってんじゃねーよ!!」

「ちょっと!からかわないでくださいよー!」

二人は笑いながら仕事を再開した。
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