美形×平凡
二人の足音は、こちらへだんだん近づいてくる
動かなきゃ
でも思うように足は一歩も動かなかった
「じゃあさ、あの子超かわいそーだよね」
芦田先輩の嘲笑が聞こえる
―ガラッ
「あっ、」
香田先輩の声が聞こえる
言わなきゃ
別れますって
ほんとは付き合ってもないんだろうけど
そう思うと悲しくて涙が溢れてきた
「香田先輩!僕、先輩と別れます。早く本命の人と幸せになってください」
僕は早口でそう告げると、走り出す
「おい、待てよっ」
香田先輩の声が聞こえるけど、そんなの無視だ
僕が走り着いた先は、初めて先輩に告白された場所だ
僕はしゃがみ込んで、泣き出した
それはもう、号泣した