心の声を聞いて
『……ユイ。“かれし”って知ってるか?』
『ううん。知らないよ』
『男と女が結婚する前に、男は“かれし”女は“かのじょ”にならないといけないって、かーちゃんが言ってたぜ!』
『そうなの!??』
『うん!!だから、ユイ俺の、“かのじょ”に…---』
「う…ん…」
「あら、泉さん。気づいた?」
「三…上…先…生?」
…ここは??
あたし、確か…。食堂にいたよね?
「はい、泉さん。お水よ。大丈夫?ここは保健室よ」
保健室…?
あれ…あたし…?
「泉さん、食堂で倒れたのよ」
「え…?…あ。そう…でしたね」
確か…ここまで…誰かに送って貰った気がする…。
誰だっけ??
「泉さん。もう帰りなさい。さっき熱測ったら、38度からあったわよ」
「……はい。あの…先生。鈴ち…河合さんは?」
「あぁ、さっきまでいたけど、授業始まるから、教室に戻ったわよ」
「そうですか…」
「お家に誰かいる?」
「いません…」
「あらぁ、困ったわね…」
先生はパラパラと連絡網をみる。
「…先生。あたしの家、こっからすぐなんです…。だから、一人で帰れます」
「そう…?大丈夫?」
「はい…!」
「…気をつけてね?」
「はい…少し休んだら気分が良くなりました。失礼します」
お辞儀をして静かに扉を閉める。