言葉にしなきゃ伝わらない。
長いまつげが下がって子犬みたいな瞳を俺に向ける。



「どうしてん?・・・泣くのやめたん?」


さっきまでの体の震えがウソみたいになくなっている。


ぎゅっと俺の服を掴み


『私の話を聞いてくれますか?』


ゆっくり..ゆっくりと口を動かす。



苦しそうな瞳で俺に訴えかけるように.....


「当たり前やん、ええよ。運命的に出会った仲やしなっ」


明るく笑いかけると、安心したように微笑んだ。



そして、恐る恐る立ち上がり俺の横へと体を動かした。



奥が崖とは思えないほどの芝生が広がっている

ここ、月見崖(ツキミガケ)



何年か前までは空に一番近い場所―――そう言われ、見物客も多かった。


確か、俺が小学1年生の時やったかな





でも、今は人っ子ひとりいない。




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