水恋

「ね、あの人だよ。和風喫茶の執事の木ノ下君」

2人組の女子のうち一人が私を見て言う。

「あっ、知ってる。さっき女子が騒いでた。すっごい、優しくて、かっこいいんでしょ?」

「そうそう。メイドにも優しくて、素手でガラス処理しようとしたメイドに『奇麗な手が傷ついてしまう』とか言ってたらしいし」

「噂に寄れば、そのメイドの子と付き合ってるとか」

……っ!!ごホっ、ゲホッ……ゲホホっ!!!

危うくタコが喉に詰まりそうになった。

その女子は、私を見て、心配そうな顔をする。

とりあえず、ここから退却しよう。

私は、急ぎ足で、人の少ないところに移動した。


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