三度目のキスをしたらサヨナラ
「ほら、昨日バレンタインだっだでしょ? 彼女との久しぶりの再会だったし、俺、期待して昨日からウキウキしててさぁ……。それなのに、もらえたのは『サヨナラ』の言葉だけだったなんて、情けないよなぁ」

彼は、失恋したばかりだとは思えないほど、流暢に、ときどき笑いを交えながら語った。

そして、

「あーっ、また泣きたくなってきた」

そう言って空を見上げた。

彼の横顔が、
その艶っぽく潤んだ瞳が、
街のネオンに明るく照らされる。

私は、その綺麗な横顔に不覚にもドキッとしてしまった。


すると、その綺麗な横顔が私の方を向いた。

「ねえ、さっきお店で……どうして俺にビールを奢ってくれたの?」

「え?」

「俺、そんなに情けなく見えた?」

「うん……まあ……」

「ははは、やっぱりそうかー」

少し気恥ずかしそうに、彼は自分の鼻の頭を掻いた。
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