三度目のキスをしたらサヨナラ
学生たちは、ゆっくりと私たちの横を通り過ぎていった。

それを見届けると、彼は私の肩から手を離して、さっきのように距離をとった。

冷たい空気がまた、私の身体を包む。

「……いきなり、ごめんね」

「ううん」

「早く、行こうか?」

「うん」


そうしてまた歩き始めた私と彼は、横断歩道の手前で立ち止まった。

信号は赤だった。

目の前を車が横切っていくたびに、私の髪は風にあおられて揺れた。


「いつもこんな時間に1人で歩いているの?」

「時々……」

「そうなんだ、気をつけてね」

「ありがと」


……久しぶりに感じる、男の人の力強い感触と温もりだった。


だけど、違う。

私が知っている、あの人の温もりとは全く違う……。




私は、ぎゅっと目を閉じた。



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