三度目のキスをしたらサヨナラ
車の流れが変わった気がして目を開けると、ちょうど信号が青になったところだった。

他の歩行者につられて歩き出そうとする彼を、左手で制止する。

「ここまででいいから」

目の前の横断歩道を渡れば、そこは地下鉄の入り口だ。

「じゃあ、受験頑張ってね」

どうしてだろう?
これ以上彼と一緒にいると、泣いてしまいそうだった。

「うん……」

彼が右手を差し出す。

私がその手をじっと見つめていると、
「握手だよ」
と言って、私の手を強引に握った。

そして、数回軽く手を振ると、その手を優しく放した。

「じゃあ、信号変わっちゃうから、もう行くね」

「うん。……今日は本当にありがとう」


そうして1人で歩き始めた私の背後から、
「気をつけて!」
という彼の声が聞こえてきた。


横断歩道を渡っている間、ずっと背中に彼の視線を感じでいた。

だけど、私は一度も後ろを振り返らずに、地下鉄の入り口へ入っていった。
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