三度目のキスをしたらサヨナラ
階段を、
下を向いたまま、
冷たい手すりを掴んで、
1段1段足音を立てて降りながら、


……私は泣いていた。


……なんでだろう?

もう、吹っ切れたはずっだったのに。

沢山泣きすぎて、もう私には涙なんて残っていないと思っていたのに。



階段を下りきると、私は改札とは反対方向の、人気のない一角へ向かった。

そして、冷たいコンクリートの壁を伝いながら数歩歩いたところで立ち止まった。


もう、これ以上歩けそうになかった。


「……蒼太」


ソウタ。

それは1ヶ月ぶりに発する、別れた恋人の名前だった。

悲しくて、
寂しくて、
寒くて。

壁にもたれかかりながら、右手で自分の左腕をぎゅっと掴んだ。

「痛……」


私は、その場にしゃがみ込むと、声を押し殺して泣いた。

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