牙龍 私を助けた不良 上
「何?」
「今日、牙龍が暴走するんは知っとるな?・・・それで、龍騎が凜華ちゃんも連れて行くって言うとるけん、着替えて貰ってもええかな?」
「・・・・・」
「嫌なら無理強いはせんのやけど・・・、ちょっと問題があってな」
「問題・・・?」
「他の族に凜華ちゃんが俺らと居るとこを見られてしもうてな」
頬をかきながらそう言う暁を見て、分かった。なるほどね。要するに、一人だと危ないから守られろと・・・。仲間として。
仲間、なんて──。
『こんな思いをするならもう二度と、私は・・・もう二度と仲間なんて作らないっ!!!』
過去の記憶が脳裏を過(ヨギ)った。封印したはずの、あの頃の記憶が。
・・・コイツらも、同じだ。
仲間への依存は、信頼と裏切りを紙一重にする。弱さと強さのように。