嘘カノ生活
「ちょ…なんで間宮さんがここにいるんですか!」
「は?メール見た?迎えに行くって言ったじゃん」
メールは見ましたけど、とあたしは小さく返す。
だけど、だからって教室までくるなんて非常識にも程がある。
「ほれ、朝未行くぞ」
「ま…待ってくださいっ」
クラス中が呆気に取られている様子。
どうしようこの状況。
視線が痛い。
沈黙が続く中、関谷がそれを破った。
「柏木…そいつ、誰?」
なんていったら良いんだろう…。
バイトの先輩なんだけれど、なんでただの先輩がここにいるの?
なんてなるのは目に見えているし。
ましてや彼氏なんて言えるわけがない。
そもそもそれは嘘、なんだから。
「あ、俺朝未の彼氏の間宮って言いまーす。よろしく!」
女子のあっけにとられた顔や男子の目線。
夕菜の顔や関谷の顔。
見なくても分かる。
…ああ、もう。
今あたしはとてつもなく死にたい気分だった。