嘘カノ生活
「すいませんね、どうせ子供ですよ」
「いや、かわいいよ。俺色に染めてみたくなるー、なんて」
そのセリフを恥ずかしげもなく言う間宮さん。
顔に似合ってるから良いけれど。
と、目の前の信号が点滅し始めた。
「あ、渡っちゃったほうが早いです」
と、あたしは間宮さんの服を軽く掴んで走ろうとした。
けれど間宮さんは逆にあたしの腕をとり、少し険しい表情で言う。
「だめ。次までまとう」
「え、あ、はい…」
そうこうしているうちに、点滅していた信号は赤に変わった。
…どうしたんだろう。
軽く信号無視したことは悪いと思うけど、そんなに険しい表情をする程怒ることだろうか?
このときには気づいていなかったけれど。
間宮さんの手が、少し震えていたことに。