嘘カノ生活
ゲームセンターについてから、間宮さんはさっきまでの表情はどこへやら。
嬉しそうに、楽しそうに辺りを見回す。
こういうところ、あたしよりも子供だと思う。
「お、朝未ー、このヌイグルミ欲しい?」
ふと、ゲーセンの中の隅にあるUFOキャッチャーを見て間宮さんは言った。
「え、でも悪いですし」
「まーったく、彼氏に遠慮すんなっての」
彼氏…。
なんていっても中学生の時にいたのが最後。
だからだきっと。
こんな、楽しい気分になってしまうのは。
「えと…、じゃあ、欲しい、です」
「…ぶ」
「な、なんですか」
「いや、かわいーなー、と」
そういうセリフを普通に言う間宮さん。
いつもの間宮さん。
「妹とか、弟が欲しいかなって思っただけで、あたしは別に…」
「ん、弟妹思いのいい子だ」
そういってあたしの頭を大きな手のひらでなでた。