嘘カノ生活

それに驚いたあたしは間宮さんの方に顔を向けてしまう。



「やーっとこっち向いた」

「ていうか、ここ墓前ですからね!離れてくださいっ」



こんな場所で抱きしめるなんて、本当に間宮さんは常識はずれだ。

前々から分かっていた事だけれど。

それにあたしがいくら嫌がっても、間宮さんはそのてを緩めない。



「良いよ、祐平に見せ付けておく。俺はこれから幸せになるって」

「え…」

「幸せにしてくれるんだろ?朝未が」

「ば、ばか!もうそれは忘れてください!」



急に真剣になったかと思えばおどけるようにあたしを見る。

だけど。



間宮さんはやっと自分自身の幸せを考えてくれて。

幸せになることを望んで。

誰にも遠慮なんてしないで。

 
だから、あの言葉は嘘じゃない。

間宮さんを幸せにしたい。



絶対に、口には二度と出さないけれど。



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