嘘カノ生活
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「いってきまーす」
ある休日の正午、あたしはそう言って玄関で靴を履き、ドアノブに手をかける。
外に出ると、お昼ということだけあって気温も程良いくらいだった。
あれから、とても順調に。
1ヶ月が経過していた。
間宮さんも遅れていたレポートを出すので忙しい時もあったけれど、今は落ち着いている。
SASAKIにも戻ってきて、相変わらずの注目ぶりを発揮していた。
そして今日は、間宮さんがうちに遊びに来る日。
少し前に「今度お前の親に挨拶行くよ」と言い出してすぐに決まった。
間宮さんと待ち合わせの時間まで随分あったし、それ程遠くない待ち合わせ場所までは歩いていく事にした。
気温が温かいといっても、春の気温ほどでもない。
一応、と羽織ってきたコートのポケットに両手を突っ込む。
いつメールや電話がきてもいいようにと、その中で携帯に軽く触れていた。
眺める景色は都会でもければ田舎でもない、ただの住宅街。
幾度となく間宮さんと歩いた。
絶対に車道側を歩いてくれていた。
今それを思い出すとどうしてか照れくさくて、無意識に頬が熱を持つ。
こんな、ただの道でさえ思い出に溢れている。
くすぐったいような思い出も、ふざけあった思い出も。
きっとこの道を通るたびに思い出すだろう。