【モテ期到来】
電車が駅に停車して開いたドアから降りる。
アカリは俺から離れないよう、ちょこちょこと早足でついてきた。
「太一は三国 紗夜香の何が好きなわけ?」
「何って…見た目?」
「…見た目ねぇ~…私には理解出来ないけど。」
アカリは「私の意見だから気にしないで」と付け加えた。
「…ぶっちゃけさ、女から見て彼女ってどうなの?」
「え?…あんまり魅力を感じないわ。まぁ、可愛いけど。」
アカリが言うには、女と男では重視するポイントが違うんだとか…。
「太一は彼女のルックスに惚れたんでしょ?それは太一が男だからだよ。」
「お前は違うの?」
「私は見た目と中身の両方よ。」
「ふ~ん…」
じゃあ、俺は彼女の中身を見ようとしてないのか…。
そんな事を考える俺をアカリは下から覗き込む。
「でも太一はいいヤツだと思うよ。女ウケしそう!」
「…アカリに言われても嬉しくない。」
「素直じゃないぞ!耳まで真っ赤なクセに!」
アカリは照れた俺を見透かしてクスクスと微笑んだ。