【モテ期到来】
前に私が好きだった彼が打席に向かう。
太一より背が低い彼。
「…カッコイイよね~八木澤って。」
「えっ!?アカリの好きな人って八木澤なの!?」
「違うよ。八木澤、彼女居るでしょ?」
「なんか別れたって言ってたよ~?」
そうなんだ…別れたんだ。
でも私の心は揺れない。
「夏休み前までアカリ仲良かったじゃん?私、付き合うんじゃないかと思ってたよ。」
「あはは!私と八木澤が?ないない!…でもカッコイイとは思うよ?」
「確かに…。坊主のクセになんつーか色気あるよね~」
そうそう。男臭さがない。
爽やかで憧れてたんだ。
「八木澤~!アカリがカッコイイって~!」
「こらこら!言わなくていいって、そんな事!」
八木澤がこっちを振り向いて「マジ!?やる気出た~!」と笑う。
私達もそんな様子を見て笑った。